ネットワーク上の形態模倣商品の提供に関する 不正競争防止法改正の議論状況

1.はじめに
令和5年1月17日、メタバースなどの仮想空間での模倣品の規制のため、政府が同年の通常国会に不正競争防止法などの改正案(「本改正案」)を提出することが報じられました。本改正案に関わる論点は多岐にわたりますが、本稿では、不正競争防止法(「法」)2条1項3号(形態模倣行為)に関するこれまでの議論の状況をご紹介します。

2.不正競争防止法の定めと課題
法2条1項3号は、「他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」(「形態模倣行為」)を「不正競争」として定義しています。同号は、平成5年の法改正で追加された規定であり、例えば、ファッション業界におけるファッションデザインの保護においては、意匠法や著作権法による保護が難しい事例が多いため、同号による保護が機能する場面が多いとされています。
そこで、メタバースなどの仮想空間の活用が進んでいる現代においては、リアル/デジタルの交錯領域におけるファッションデザイン等の保護(例えば、有体物の商品が無体物としてコピーされる事例又はその逆の事例)についても、法2条1項3号を活用しようとする場面が生じ得るところ、そのような場面を想定したときの課題として、次の点が指摘されていました(令和4年2月28日開催 産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会(「小委員会」)。
① 同号の「商品」に「無体物」は含まれるか
② 同号はリアル/デジタルを交錯する模倣事例に対応できる規律となっているか

Please click here to read more.

Sign In

[login_form] Lost Password